道路斜線制限と緩和について知らないと恥をかく5つのポイント

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道路斜線は建築関係者以外でも知っているほど、ポピュラーな建築基準法の1つである。建物の高さを決定する重要な要素であるので、理解し確実に活用できるようにしたい。

しかし、実際には複雑で、その中身をしっかりと理解するには、かなりの時間を要するのも事実である。

今回は、設計者のみならず、施主側にとっても、理解できるように、道路斜線とその緩和方法について分かり易く且つ詳細に説明させて頂く。

 

道路斜線の位置づけについて

道路斜線は建築基準法上の建物高さを調整するための斜線制限と呼ばれる「道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」の1つである。

道路斜線は建物の敷地が接する道路の幅や用途地域によって建物高さを規制している。隣地斜線は隣接する土地と建物距離、及び用途地域によって建物の高さを規制している。北側斜線では北側に建つ建物の採光条件を確保するため建物高さを規制している。

いずれにしても、無秩序に高い建物の建設を防ぎ、快適な町並みと都市環境を形成するための法律となる。

今回は道路斜線に絞っての説明となるが、「隣地斜線」「北側斜線」も含めて把握しなければ、最終的な建物の高さを確定することができないのでご注意頂きたい。

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道路斜線の基本について

道路斜線は「用途地域」「容積率」によって適用距離と適用角度が変わり、建物の高さと位置が決まってくる。

適用距離は昭和62年以降に追加されたもので、建物が道路からの距離を確保できていれば道路斜線の適用が免れるというもの。これによって街中で良くみかける道路斜線に沿って外壁が斜めになった建物が少なくなり景観も改善されるようになった。

下記表に用途地域及び、容積率毎の数値を記載したので確認頂きたい。

 

表1

 容積率 適用距離  適用角度
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
 200%以下  20m  1.25
 200%超え300%以下  25m(※20m)  1.25(※ 1.5)
 300%超え400%以下  30m(※25m)  1.25(※ 1.5)
 400%超え  35m(※30m)  1.25(※ 1.5)
近隣商業地域
商業地域
 400%以下  20m  1.5
 400%超え600%以下  25m  1.5
 600%超え800%以下  30m  1.5
800%超え1000%以下  35m  1.5
 1000%超え1100%以下  40m  1.5
 1100%超え1200%以下  45m  1.5
 12 00%超え  50m  1.5
準工業地域
工業地域
工業専用地域
 200%以下  20m  1.5
 200%超え300%以下  25m  1.5
 300%超え400%以下  30m  1.5
 400%超え  35m  35m  1.5
 構想住居誘導地区内住宅≧2/3×全体延べ面積の建物  35m  1.5
   用途地域の指定の無い建築物  200%以下  20m  1.25又は1.5
 200%超え300%以下  25m  1.25又は1.5
 300%超え  30m  1.25又は1.5

※第1,2種住居地域においては()内の数値となる。

 

では具体的なケーススタディで説明してみる。

第1種低層住居専用地域 容積率:200% 適用距離:20m 適用角度:1.25

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商業地域 容積率:600% 適用距離:25m 適用角度:1.5

doro02

 
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①建物の敷地内に2つの用途地域が存在する場合

建物の敷地内に2つの用途地域が存在する場合は平均の容積率を計算して適用距離と角度を算出する。下記事例を参照頂きたい。

 

第1種低層住居専用地域 容積率:200% 敷地面積:200㎡

第2種中高層住居専用地域 容積率:400% 敷地面積:100㎡

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200%×200㎡/300㎡+400%×100㎡/300%≒266%

よって、表1より適用距離25m、適用角度1.25

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第1種低層住居専用地域 200% 敷地面積:200㎡

商業地域 400% 敷地面積:100㎡

doro07

 

 

200%×200㎡/300㎡+400%×100㎡/300%≒266%

よって、

第1種低層住居専用地域
適用距離25m、適用角度1.25

商業地域
適用距離20m、適用角度1.5

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doro05

 

 

 

②全面道路幅員が12m以上の場合

建築基準法56条3により、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域において前面道路が12m以上で適用角度が1.25の場合、全面道路の反対側の境界線からの距離+前面道路の幅員×1.25の距離以上の区域内においては1.5となる。

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③建物がセットバックした場合の道路斜線緩和

建築基準法56条2により、建物が道路境界よりセットバックし、空地を設けた場合、道路等周辺環境への影響が低く抑えらえるということで、道路斜線制限が緩和される。セットバックの距離だけ反対側の道路境界線をずらすことが可能となる。

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セットバック距離の算定において建物とみなされない部分

建築基準法施行令第130条の3より、セットバック時において建物として見なされず緩和される部分が存在する。下記に記載するので確認頂きたい。

物置その他これに類する用途に供する建築物の部分で下記条件に合致するもの。
・軒の高さが2.3mかつ床面積の合計が5㎡以内。
・前面道路からの後退距離が1m以上。
・前面道路に接する部分の長さに対して1/5以下。

ポーチその他これに類する建築物の部分で下記条件に合致するもの。

・前面道路の中心線からの高さが5m以下。
・前面道路からの後退距離が1m以上。
・前面道路に接する部分の長さに対して1/5以下。

道路に沿って設けられる門又は塀

・高さ2m以下
・高さ1.2m以上の場合は1.2m以上の部分が網状その他これに類する形状

歩廊、渡り廊下等で特定行政庁がその地域の気候若しくは風土の特殊性を考慮して規則で定めたもの。

建築物の部分で高さが1.2m以下のもの

 

④前面道路が2つある場合の道路斜線緩和

建築基準法施行令132条1より、全面道路が2つある場合、道路幅員が狭い方の幅員は、道路幅員が広い方の幅員を、その幅員の2倍且つ35メートルの範囲内において適用できる。また、前面道路の中心線から10m以降の範囲についても、広い方の幅員が適用可能となる。

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⑤前面道路の反対側に公園、広場、水面等がある場合

建築基準法施行令第134条より、前面道路の反対側に公園、広場、水面等がある場合は、周辺において空地が確保されているとみなされ、前面道路の反対側の境界線はそれら公園、広場、水面等の反対側の境界線にあると見なされる。

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最後に

道路斜線は建物を設計する上で基礎的な項目であるために、設計のスタート段階においては必ず把握しておいてもらいたい。また基礎であると同時に複雑な部分もあるので、ミスのないように注意もしなければならない。

また、関連する「隣地斜線」「北側斜線」についても必ず理解をしておいて欲しい。その他、設計者にとっては一級建築士の試験においても必ず出題される項目でもある。

いずれにしても町並みに一定の規律を作り、快適な都市を形成するための規制であることは忘れてはならない。

 

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