これを知っていれば、構造計算適合性判定も怖くない!

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これを知っていれば、構造計算適合性判定も怖くない!

建築を実務としている方は、構造計算適合性判定の案件は面倒くさそうなのでやりたくないなと思っていないだろうか。構造計算適合性判定は、規模等により、その必要性が決まるのだが、その境界辺りでの仕事をしている方は無い方が良いと思うのが当たり前だろう。

 

建築法令は時代と共に変化を遂げている為、新しい法令に切り替わると警戒をしてしまうのが普通であろう。

構造計算適合性判定も比較的近年の法改正によって制度化されたもので、確認申請というものに大きなハードルを課す一つの要素となっている。

 

この記事では、そんなハードルを少しでも低くできるようにわかりやすく解説する事を試みる。是非、構造計算適合性判定の案件が来ても怖くないという気持ちになっていただきたい。

構造計算適合性判定とは?背景と共に理解する

構造計算適合性判定とは?背景と共に理解する

構造計算適合性判定とは、一定規模の建築物について通常の確認申請とは別に第三者機関に構造計算が適正であるかを判断してもらうものである。

構造計算は通常、構造設計者が構造計算ソフト等を用いて計算したものを確認申請に添付して審査をしてもらうものだが、その確認申請における審査とはまた違った機関が構造計算をチェックする事で構造計算の信頼性を確かめるというものである。

構造計算適合性判定が法制化されたのは、平成27年です。この法制化にあたっては、皆さんもご存知の通りの「耐震偽装事件」が事の発端となっている。

この事件を通しての、関係法令上の問題として以下の3点が指摘されていたと結論づけている。

第一に、今般の構造計算書偽造事件では、指定確認検査機関、特定行政庁のいずれについても、建築確認・検査の過程で構造計算書の偽造が見抜けなかった事から、建築確認・検査の厳格化の措置を講じる必要があるということです。

第二に、一部の指定確認検査機関において多くの偽装が見過ごされていたことから、指定確認検査機関に対する監督を強化するなど、その業務の適正化を図るための措置を講じる必要があるということです。

第三に、一級建築士が構造計算書の悪質な偽装を繰り返し、元請建築士事務所においてもこれを看過してきたことから、違反者に対する厳罰を強化するなど、建築士及び建築士事務所の業務の適正化を図るための措置を講じる必要があるという点です。“

このような問題点を解決する為に法制化されたのが、「構造計算適合性判定」です。

【引用:改正の背景及び経緯 第一法規https://www.daiichihoki.co.jp/store/upload/pdf/019992_pub.pdf

 

判定が必要な案件とは?

判定が必要な案件とは?

構造計算適合性判定を要する建築物をしっかり理解しておく必要がある。

対象となる建築物については以下の通りある。

①一定規模以上の建築物(高さが60mを超える建築物(超高層建築物)以外の建築物で、木造で高さ13m又は軒高9mを超えるもの、鉄骨造で4階以上のもの、鉄筋コンクリート造で高さ20mを超えるものなど、法20条第1項第2号及び令第36条の2第1号から4号までに規定されている建築物のほか、令第36条の2第5号に基づく告示(平成19年国土交通省告示第593号)に定められている建築物)

②許容応力度等計算(ルート2)、保有水平耐力計算(ルート3)又は限界耐力計算(これらと同等以上に安全性を確かめることができる構造計算を含む。)を行ったもの

③許容応力度等計算(ルート2)又は許容応力度計算(ルート1)で、大臣認定プログラムによるもの

【参考:構造計算適合性判定対象建築物http://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/4088.pdf

この判定が必要な案件を要約すると

木造で高さ13m又は軒高9mを超える建築物

・鉄骨造で4階建以上の建築物

・鉄筋コンクリート造で高さ20mを超える建築物

・許容応力度等計算(ルート2)保有水平耐力計算(ルート3)、限界耐力計算で計算を行ったもの

・構造計算が大臣認定プログラムによるもの

上記において注意しなくてはならないのは、構造計算の方法やプログラム”によって必要性の否かが変わるという事である。

規模によって、計算が必要になるであろう事は理解をしやすいのだが、“構造計算の方法やプログラム”によって必要になるというのは、見落としがちな点である。

構造設計者であれば当然理解しているので問題ないと思うが、総括をしている意匠設計者は、規模と共に、計算方法までを考慮して必要な案件になるのかを判断しなくてはならない。

ここでもう少し理解を深める為に、構造計算について解説をしておきたい。

建築基準法において定められている構造計算方法には、いくつかの方法が存在する。

建築基準法施工令81条に定められているのだがそれを以下に列挙する。

①時刻歴応答解析(高さ60を超える建築物)

②限界耐力計算(高さ31mを超え、60m未満の建築物)

③保有水平耐力計算<ルート3>(高さ31mを超え、60m未満の建築物)

④許容応力度等計算<ルート2>(高さ31m以下の建築物)

⑤許容応力度計算<ルート1>(それ以外)

少しご存知の方なら理解していただいているかと思うが、構造計算適合性判定は基本的には④許容応力度等計算<ルート2>以上の計算に対して求めている、高さ等による要件は必然的にルート2以上の計算を求められるので、構造計算適合性判定が必要になるという流れである。

構造計算は、規模等によって決められた方法以上のものであれば基本的にはどの計算方法をとってもよいので、最低限ルート2以上が必要になると覚えておけばよいだろう。

 

判定依頼から結果までの流れ

判定依頼から結果までの流れ

実務としてしっかり押さえておきたいのは、構造計算適合性判定の流れであろう。構造計算適合性判定の物件の時に、どのようなタイミングで出すのか、どれくらいの期間を要するのかなど疑問を要するところであると思うので、ここでは順を追って解説していく。

 

確認申請との一連の流れ

構造計算適合性判定は、確認申請の流れの一つということが理解できるが、具体的にどのようなタイミングで審査をするのか流れを示しておきたい。

構造計算適合性判定に対する、確認申請上の制約は、確認済証が降りる前までに、構造計算適合性判定が終了していること

である。

この制約を条件として考えると、ふた通りの流れが、考えられるようになる。

①構造計算適合性判定を取得後、確認申請を取得する

確認申請を出す以前に、構造計算適合性判定を取得してしまうという事であるが、これは現実的ではない。構造計算適合性判定の申請時期は特段定められているわけではないが、確認申請においても構造審査は行われるし、建築審査によっては多少の変更もあり得る。

構造計算適合性判定は一度下ろしてしまったら修正や変更はできない。

②構造計算適合性判定と確認申請を同時並行で進める

現実的な進め方である。判定が降りるまでは、ある程度の変更も可能であるので柔軟な対応ができる。

よって確認申請とほぼ同時期に出すのが適切であろう。

 

構造計算適合性判定の具体的な流れ

ここからは、構造計算適合性判定の具体的な流れについて説明する。

①受付事前審査

適合性判定は概ね、民間の審査機関等に業務開放がされている為、柔軟な審査対応を取ってくれるところが多い。本申請をする前に、審査をする為の設計図書や計算書などが揃っているかをあらかじめ審査してくれる。

②本申請

図書等の種類等に不備がないということになれば、本申請となり受付をしてもらえる。

③審査

適合性判定機関は、提出された図書等を適合しているのかの審査を行う。適合していないものがある場合には、「適合しない旨の通知書」と共に質疑事項が発行される。基本的には、この段階では、適合性判定の質疑を回答してしまえばそれで終わりだが、大体は確認申請の審査も行っているはずなので、そちらの補正内容についても、構造計算適合性判定の申請書類等に反映する。

④適合判定通知の交付

質疑に対して回答を終えると、適合判定通知が交付される。この判定通知を確認申請図書に添付する必要がある。

 

標準的審査期間

構造計算適合性判定における審査期間を掴んでおくことは工程管理の上で重要なことであるので、どのくらいの期間を要するのかを掴んでおきたい。

審査期間は法令において14日以内と定められているが、最長で35日まで延長することが可能である。大体の審査期間が、適合できない旨に便乗する形で期間を延長する。尚、この審査期間には補正期間は含まれないので注意を要する。

 

費用

手数料については、判定機関によって異なる点もあるが、概ね以下の金額が目安になる。

延べ床面積:1000以下:150000円前後

延べ床面積1000-5000以下:200000-300000

延べ床面積5000以上:500000以上

 

指定構造計算適合性判定機関

指定構造計算適合性判定機関

構造計算適合製判定は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第18条の2第1項の規定により、知事は、国土交通大臣又は知事が指定する者(指定構造計算適合性判定機関)に、構造計算適合性判定の全部又は一部を委任することができる。

指定構造計算適合性判定機関は、各県毎に違うので注意されたい。

今回は、東京都知事が指定する機関を列挙する。

機関名 判定を行う事務所の住所 有効期限 指定権者
一般財団法人 日本建築センター 東京都千代田区神田錦町一丁目9番地 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター 東京都港区西新橋1-15-5 内幸町ケイズビル 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター 東京都渋谷区渋谷二丁目17番5号 平成27年6月1日から5年間 東京都知事
一般財団法人 住宅金融普及協会 東京都文京区関口1-24-2 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
一般財団法人 ベターリビング 東京都千代田区富士見二丁目7番2号 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
株式会社 都市居住評価センター 東京都港区虎ノ門一丁目1番21号 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
株式会社 建築構造センター 東京都新宿区新宿1丁目8番1号 大橋御苑駅ビル6階 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
株式会社 東京建築検査機構 東京都中央区日本橋富沢町10番16号 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
ハウスプラス確認検査 株式会社 東京都港区芝5-33-7 徳栄ビル本館4階 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
株式会社 グッド・アイズ建築検査機構 東京都新宿区百人町二丁目16番15号 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
ビューローベリタスジャパン 株式会社 東京都千代田区神田駿河台4丁目3番地 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
株式会社 国際確認検査センター 東京都中央区京橋2丁目8番2号 京橋MKビル6階 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
アウェイ建築評価ネット 株式会社 東京都品川区大崎一丁目6番4号 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣
一般財団法人 さいたま住宅検査センター 東京都武蔵野市中町1-11-4武蔵野ニッセイプラザ5階 平成27年6月1日から5年間 関東地方整備局長
日本建築検査協会 株式会社 東京都中央区日本橋三丁目13番11号 油脂工業会館5階 平成27年6月1日から5年間 国土交通大臣

 

最後に

構造計算適合性判定について、制定の背景、必要建築物、判定から結果までの流れ、指定構造計算適合性判定機関の概要を紹介してきた。

この内容を頭に入れておけば、実務において困る事はないはずである。

実際の構造的内容は当然、構造設計の範囲であるので、ここでは紹介しきれないほど奥の深いものであるが、総括担当者が建築実務を進める上では十分であろう。

この記事を読んでいただき、自信を持って実務を進めていただきたい。

株式会社アーキバンク

建築に関わる専門知識、経験を活かし、建築や内装に関わる「ヒト」「モノ」「サービス」を効率的かつ有効に結びつけるため、建築関連のWEBメディア事業を中心に、WEBコンサルティング事業、コンテンツ販売事業を展開。ホームページはこちらより。

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