リフォームと同時に増築をする際に注意すること

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
増築

自宅も長年経つと老朽化が進みリフォームをしなくてはいけない時期がやってくる。

一般的には、クロスを張り替えたり、お風呂を変えたりなど大きな変更はせずに物を更新することが多いが、最近ではリノベーションという言葉がリフォームと似たように使われるようになってきているが・・大幅なリニューアルを行うことも増えてきている。

壁の位置等も変えてしまい、全く様変わりする物件もある。そのような、リフォーム工事に便乗して、増築工事も行ってしまうことも多いのではないだろうか。

ここでは、住宅を想定したリフォームと増築を同時に行う場合の注意点をまとめていきたいと思う。

 

リフォームと増築を同時に行う状況とは

リフォームと増築が同時に行われる状況とはどのような場面でみられるだろうか。リフォームを必要とするのは、住宅が長年経ち続けていることで、老朽化が進み住環境が悪化してきているので、建て替えという手段を選ばずに直そうと思った状況で起こりうる。

一方増築は、何かしらの理由で現在住んでいる住宅の大きさでは不足をしてきているので、部屋などを増やしたいときの状況で起こりうる。住宅の場合の何かしらの理由は、子供が増え大所帯になることや、親の面倒を見るために2世帯型にしたいなどの状況が考えられる。

リフォームと増築を同時に行いたい状況は、上記2つの条件をひとまとめにしたいときであり、それは何度も工事を行うことは大変であるし、また金銭面でも分散することは重複してかかる部分もあるかと思うのでメリットがでないなどの理由から同時に行ってしまった方がよいのではないかとの状況で発生すると考えられる。

→無料プレゼント『知らないと恥を書く!建築関係者が絶対に知っておくべき法令大百科』PDF

 

リフォームと増築を同時にするために知っておきたいポイント

リフォームだけなら確認申請は不要、増築する場合は必要になる場合あり

建築行為においてまず気になるところは確認申請が必要なのかという点かと思う。皆さんも周知の通りかと思うが、いわゆるリフォームの場合だと、確認申請は不要である。

それは、建築基準法6条に定められている行為に該当しないからである。注意をしていただきたいは、「大規模の修繕」と「大規模の模様替え」にあたらないのかということだ。これは基本的にはあたらないと考えて良いものである。

ここで示す「修繕」とは、「同じ材料を用いて、元の状態に復元すること」を指し、「模様替え」とは「違う材料を用いて、性能を維持する」ことを指している。そして「大規模」とは「主要構造部(柱、階段・・・)の過半」を指している。

すなわち、「大規模の修繕」とは「主要構造部の過半以上を同じ材料を用いて、元の状態に復元すること」を指し。「大規模の模様替え」は「主要構造部の過半以上を違う材料を用いて、性能を維持すること」である。

リフォームの場合だと、柱や階段までをもいじることはほとんどないので、まずは確認申請の対象行為になることはほとんどない。

ただ、確認申請が不要だからといって何をやっても良いのかというとそうではなく、法律的に合致した状態が維持されることが必要である。キッチンの周りは不燃材料を使うなど守らなくていけないことはしっかり守る必要がある。

増築の場合は、確認申請の対象となる場合がほとんどであろう。

住宅の場合は4号建物であるので、対象地が防火地域等以外で、10平方メートル以下でない限り、増築確認申請の対象となる。確認申請の対象となる場合ではないが、当然法的に満足しているかを確認する必要性が出てくるので注意されたい。

確認申請の対象となる場合だと、状況次第ではあるが、既存建物の改善も余儀なくされる場合もあるので、新築当初の図面や確認申請があるかなど、整理する必要性があるので、設計事務所や工務店などに相談してみるのがよいだろう。

増築は費用がかかる

リフォームの選択肢の中で、増築が出てきた場合の話をしているが、やはりリフォームを行うだけより費用は割高になると考えるべきであろう。

一般的にリフォームの相場は内装材を一新する程度での考えである場合は、坪単価にして20〜30万というのが相場であろう。増築部分は、基礎から屋根までを新たに築造する訳であるので、ほぼ新築の増築と考えてよいのではないだろうか。

予算がある中で、考えていると想像以上にかかると思ってしまうため、しっかりとお金はかかるものだと認識していただきたい。尚、増築は場所によっても費用がかなり違ってくるので注意されたい。

簡単に増築時の費用について説明をしていきたい。

→無料プレゼント『知らないと恥を書く!建築関係者が絶対に知っておくべき法令大百科』PDF

 

増築時の費用目安

一般的な木造住宅の場合は2畳で70万円程を目安で考えるとよい。住宅が鉄骨の場合は2畳あたり100万円程、2階部分だと1階部分の補強工事も必要になるので2畳あたり120万円程が一つの相場だろう。業者や時期、年度によっても変更になるので注意されたい。

増築場所別の費用目安

・簡易なベランダやバルコニーの増築費用(30万円~50万円)

・トイレを増築する場合の費用(120万前後)

・寝室を3畳増築する場合の費用(190万円前後)

・和室8畳の増築費用(250万円)

・工事日数もかかる

リフォーム工事でも、当然同じであるが、工事所用日数もかかることは認識しておかなければならない。基礎の築造など、大型の工事が発生することも認識が必要である。

→無料プレゼント『知らないと恥を書く!建築関係者が絶対に知っておくべき法令大百科』PDF

 

リフォーム、増築それぞれを別々に考えた方が工事は行いやすい

リフォームの時もそうであるが、住みながら工事ができるのか、できれば移動などは少なく工事がしたいなどの考えもあるだろう。

リフォームと増築を同時に行えば、少なからず工事中に使えない部分が多くなり、負担も大きくなるかもしれない。そう考えると、別々に考えることも一つの手段であるかもしれない。

増築だけであるならば、工事をしている時は、今住んでいる場所にそこまで影響を及ぼさずに工事ができるはずだ。その後にリフォーム工事をすれば、荷物移動スペースになるなど、利点も多くなるはずだ。

このような事は、考えが及ばなくても、工事の段階で調整をしながら行えるとは思うが、工事業者はできるだけ早く工事を終わらせたいと思うのが、常であるので、もしかすれば上記のような段取りを組めず、苦労することにもなりかねない。

契約をする前に、工事の段取りを含めて意向は伝えるべきである。

→無料プレゼント『知らないと恥を書く!建築関係者が絶対に知っておくべき法令大百科』PDF

 

増築を考える際の計画のポイント

既存棟と廊下等でつなぐ、増築を行う際にはどこにでも計画をできるという訳ではない、構造や設備などの諸条件をクリアしているなどが必要な条件となるので注意されたい。

ここではケーススタディで、どのような状況において、どのような検討を行っておくべきかを紹介したいと思う。

壁には耐力壁の部分がある

廊下等を築造すると考えた場合に、既存部分の壁等を取り壊し接続することになるであろうが、どこにでも接続できるわけではないので、考え方を整理しておいた方がよい。

4号建物である住宅等では構造計算は義務づけられてはいないが、壁量計算等の必要性があるのでその計算を行っている。壁量計算は、筋交い等を含む壁は有効に働くものとみなされ、その壁量が一定量必要であると規定している。

つまり、壁を抜き去ってしまうということは、本来力を受けるべき壁がなくなる訳であるので、普通に考えたら弱くなると考えてよろしいかと思う。

確認申請時には、壁量計算を行っているはずなので、建築士等を通じて確認しておく必要がある。ただ、筋交い等が入っているからその壁を抜くことができないのかというとそういう訳ではない、その部分をどこかで補うという考えを持てばよいのである。

既存住宅のリフォームを行うのであれば、そのような工事も物理的には可能になるので、様々に検討を行うことができる。

設備配管が増築部分下に埋設されているかもしれない

増築を行う場合は新築工事と同じで基礎を作り、骨組を作り、屋根をつくるというように順々に建築を行っていく。

既存建物には当然、給水管や排水管が土中に埋設されているので、計画しようとしている増築物件と干渉する可能性があることも否めない。

まず、計画を始める前にどの部分に給水管等が埋設されているかを調べておく必要がある。

新築時の図面が残っていれば、それを参照する形でよろしいかと思うが、残っていない場合などは、水道局などに申請を行った図面に掲載されている可能性があるのでそちらも参照したい。

できれば、そのルートを避けて計画を行うことができればなんら問題はないのだが、どうしても干渉してしまう場合などは対策を考えなくてはならない。

配管関係を別ルートを通すなどして、正常に建物の設備が機能するようにしていかなくてはならない。

既存棟と増築棟では構造特性が異なる

住宅の場合はほとんどが木造住宅であるが、増築をする場合には既存棟と増築棟の間に、エキスパンションジョイントを設けた方がよい。

既存棟と増築棟ではできた年代も違えば、基礎構造も一体にはつくられていない、これは地震が起きた時に揺れの特性が異なるために、地震が起きた時に建物同士が衝突し、2次的な被害を防ぐ為のものである。

法的要件は満足しているか

増築を行う場合に確認申請が必要になる可能性については示したが、当然法的に諸々満足をしていなければ、確認済証は下りない。

具体的に意識をしておくべきなのは、容積率、建蔽率、斜線制限などである。住宅地の場合などは意外と建蔽率と容積率が厳しいところもある。

都市計画で定める第一種低層住居専用地域における建蔽率と容積率の下限値は30%と50%であり、当初計画がギリギリで計画をしている可能性も十分にありうるので、よく確認をして計画をしていただきたい。

また、斜線制限については、道路斜線のセットバック後退が増築建物により変わってしまい、既存建物が不適合になってしまうなどの事も考えられるので、十分に確認をして計画をする必要性がある。

また、住宅地の場合などで地区計画や建築協定などがあり壁面後退などが定められている場合もある。増築等の確認申請の場合などは、当該届出の規模等にいたらず、壁面線をうっかりはみ出してしまうなどの可能性もありうる。

気になる点については積極的に行政に相談していただきたい。

→無料プレゼント『知らないと恥を書く!建築関係者が絶対に知っておくべき法令大百科』PDF

 

最後に

いかがであっただろうか。リフォームと増築を同時に行う場合の考え方をまとめてみた。リフォームだけであれば、法的な問題はそこまで発生しないが、増築が絡んでくると建築確認など、諸々検討をしなければいけない項目が出てくる。

増築は最悪の場合、行うことが出来ない可能性があることも頭に入れておかなければならないだろう。

設計者としては、過去の法的な問題などについてはしっかり整理を行い、施主に問題となることなどを説明したうえでどのような手段をとれば解決できるのかを相談して進めていただきたい。

最悪の場合、行うことができないと書いたが、施主としては必要な状況にあるからこそ、依頼をしてきている訳であるので、解決する手段を一緒に探していくのが設計者としての役割であろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。