知っておかなければならない消防活動空地の設置ポイント

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消防活動空地

消防活動空地とは、消防ポンプ車等の据え付け等において、必要とされる空地をいう。

必要とされる面積も大きいもので、計画上しっかり盛り込んでおかなければ、後で取れないなどの大惨事になりかねないので、しっかりと基準を理解して、計画上落としのないようにしたい。

 

消防活動空地の設置目的

冒頭でも述べているが、消防活動空地の設置目的は、「はしご車による消防活動を行うための進入路及び空地を確保」することが目的である。

はしご車が、消防活動空地内に停車し、はしごを伸ばし、バルコニー等に侵入し救助活動を行う。 有事の時に必ず、使えることが目的となるので、他の駐車スペース等との兼用は認められない。

又、そこに至るまでの進入路も同様に確保されている必要がある。

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設置対象建築物等

では、どのような建物にでも必要なのかというとそうでは無い。ご存知の通り、消防活動用空地にはゼブラーゾーン表記で書かれている場合などが多く、それを有していない施設も多数存在することはご存じだろう。

消防活動用空地については、法及び政令には定められておらず、地方自治体の条例及び要綱等により定められている場合がほとんどである。

かつ、消防活動用空地の設置基準が定められているのは、中高層建築物の建築条例や開発行為に関する条例などがほとんどである。

以下に各行政がどのように条例で定めているのか掲載する。

 名古屋市

第26 消防水利等(第2号関係)

名古屋市開発行為の許可等に関する運用基準

消防活動用空地について本市消防長が必要と認める場合は、その定めるところにより確保に努めるものとする。

 大阪市

大規模建築物の建設計画の事前協議に関する取扱要領

(消防活動に必要な空地等)

第11条 事業者は、市の定める基準により、建設計画区域内において消防及び救急活動を行うために必要な道路、通路、空地等を設ける。

 浜松市

浜松市消防活動用空地指導要綱

第2 進入路及び空地の確保

4階以上又は高さ15メートル以上の建築物には、進入路及び消防空地を確保するものとする。

 川崎市

川崎市開発行為等に関する協議実施要綱

(はしご自動車の活動)

第13条 消防法施行令別表第1に掲げる防火対象物で、地上4階建て又は軒高15メートル以上の建物を事業区域内に計画する場合は、当該区域内にはしご自動車の活動空地を設けるものとする。ただし、当該区域の周囲にはしご自動車が活動できる空地等がある場合はこの限りでない。

上記からもわかるように、大規模、中規模な建築もしくは開発行為等に係る案件については、消防活動空地が必要になるかもしれないと、注意をしておくべきであろう。

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設置基準

具体的な設置基準においても、市町村の条例等で定められている場合が多い。ここでは大阪市が「大規模建築物の建設計画の事前協議に関する取扱要領実施基準」としてまとめているのでそれを基に解説をしていきたい。

<以下条文抜粋>

(消防活動に必要な空地等)

第5 要領第11条に基づく建設計画区域内の火災等に際するはしご車、空中放水車及び放水塔車(以下「はしご車等」という。)が進入して消防活動を行うために必要な道路、通路又は空地(以下「消防活動空地等」という。

ただし、道路上に設置する場合は、その名称を「はしご車活動位置」とする。)の設置基準並びにヘリコプターが消防活動を行うために必要な緊急離着陸場及び緊急救助用スペース(以下「緊急離着陸場等」という。)の設置基準は、次の各号に定めるところによる。

1 消防活動空地等の位置

消防活動空地等は、はしご車等による消防活動が最も効果的に行われるように、次に掲げる位置に設けること。

(1) はしご車等が容易に進入できる位置であること。

(2) はしご車等が消防活動空地等の進入口の部分に、原則として2方向から進入できること。

(3) はしご車等がバルコニー、非常用の進入口又はこれに替わる開口部へ有効に架梯できる位置であること。

(4) 建築物の各部分は、消防活動空地等との距離が、図5-1に定めるはしご車の有効な活動範囲内にあるものとし、その空間にははしご車の伸長に支障となる工作物、架空電線等がないこと。ただし、これによりがたい場合は、別途協議すること。

ここでは、どの部分に設置するのかを示している。上記の通りであるが、まず解説をしていく前に、「開発行為」や「大規模建築物」になった場合にどうしてこのような整備をする必要があるのかを考えてみたい。

まず、土地は個人等が所有するものであるので、当然のごとくそこを如何様に使うかは、所有者自身に決める権利がある。だが、所有者の勝手に建築行為を行わせていては、無作法な行為ばかりになる可能性があるので、都市計画法や建築基準法ができ、周囲等に対する環境をまもるため規制を設けている。

そこで建築基準法でもそうだが、規模は大きくなるにつれて規制が大きくなるのが法の常である。例えば、日影規制等についても建物高さ10mを超えなければ、日影規制の対象にはならなかったりする。

それは、大きなものをつくればつくるほど、周囲等に対する影響も大きくなり、都市から社会へと問題が発展していく可能性があるので、規制を強化しているからだと考えられる。

では、今回の消防活動空地についてであるが、いわゆる「開発行為」や「大規模建築物」は、大きな事業的行為になり、影響は大きいものであると考えられる。よって、その敷地内においても、公共の場と同じように入居者等の安全確保等を行っていただきたいというのが行政の指導の建前であろう。

さて、本題に戻るが、(1)から順に見ていっても、厳しい指導になっていることがわかるであろう。(2)などの2方向からの進入などについて、駐車スペース等を大きく考える必要性などを示しており、十分に注意しておかなくてはならない。

<以下条文抜粋>

2 消防活動空地等の構造

(1) 消防活動空地等の構造は、車両重量20トンに耐えるものとし、はしご車等が進入した場合、車両のすべり、めり込み等の現象を起こさない堅固な構造とすること。

(2) 消防活動空地等の路面は、平坦とし、傾斜を設ける場合は、勾配を20分の1以下とすること。ただし、道路等への進入口の部分で道路法(昭和27年法律第180号) による道路と建設計画区域に高低差があるときに設ける通路の勾配は、10分の1以下とすること。

(3) 消防活動空地等に段を設けるときは、段の高さを5センチメートル以下とすること。

(4) 主要幹線道路から建設計画区域内に通ずる道路には、高さ4メートル以下の高架等の障害がないこと。

一般的に消防活動空地を設ける場所は、駐車場などに設けるパターンが多くなるのではないだろうか。(敷地が広く、駐車場が遠隔な場合には建物周囲の空地等であろうか。)その場所における、構造をここでは示している。

重量に耐えうる地面構造とすることや、傾斜を著しく設けないなど、活動に際して支障がなきようにする方針が定められている。

<以下条文抜粋>

3 消防活動空地等の幅員

(1) 消防活動空地等は、はしご車等が有効に活動できるように、5メートル以上の幅員を有するものとし、幅員の不明確な場所のないように努めること。

(2) 消防活動空地等においては、はしご車等が右折または左折するため道路等の幅員に応じて、図5-2に定める数値以上の隅切りをすること。(図略)

はしご車等も車体は大きく、狭小幅員では活動に支障をきたす可能性があるので、大きな幅員を有することを明記している。民間事業者等の行為になると、どうしても収益優先的なところとなり、十分な幅員などのスペースを取りきれない場合もあることから、安全に活動ができるようにここでしっかり基準を定めている。

計画にあたって最低限頭の中にいれておかなくてはならないのは、常時開放できる空地(6m×12mほど)を設ける必要があること、そしてそこに至るまでの経路を確保していることである。

駐車場と同じような場所に計画をしていれば問題はないと思うが、駐車場とは別の場所に配置した場合に、歩道程度の幅員では当然たどりつくことはできない。

うっかり計画をし忘れてしまうことなどもあるかも知れないので、しっかり確認しておきたい。

 

表示および標識

消防全般に言えることであるが、設置したものに対しての表示等を行う必要があるのが一般的である。一般的には、表示については6m×12mほどの大きさで黄色いペイントでゼブラゾーンを作り、消防活動用空地などと地面に記載する場合が多い。標識については、建て看板等で消防活動用空地である旨を記載する場合が多い。

こちらも各地方行政によって基準が違うので確認していただきたい。

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明確な緩和基準はない

前述しているが、消防活動空地における設置規模は大きなものであり、敷地内においてこれを負担することは、相当な計画的制約を受けることであろう。施主も含めた、設計者も頭を悩ませるものであるが、まずは消防に相談ということを忘れてはならない。

まず、本当に必要な規模になっているのかも消防に要確認である。条例等も隅から隅まで読みこめている設計者は少ないと思う。市役所や消防署などの職員はいわゆる法の番人であるので、当然、知っていてあたり前と思って差し支えないであろう。

自分で思い悩んでじっくり読むことも大切なことであるが、聞いてしまうのが一番早く成果を得られるだろう。

上記確認の上、結果上必要がないのであれば、それでよいのであろうが、必要という場合に設けることが難しい環境下におかれる場合もあるであろう。

だが、まずは何とか設けることができないであろうかと考える必要がある。法や条例は安全ということを担保に作られている。設計者が法等を遵守することは職務を全うすることでも当然のことであるが、万一のことがあった場合には、法を遵守したということが自身の身を守る武器になるのである。

消防署に相談をして、担当者レベルの間で問題ないであろうと判断し、設けることが緩和できたとしてもそこに思わぬ落とし穴が存在することがあるかも知れないと考えるべきである。

後で、大惨事の問題が起きて裁判などになり、苦しめられるより、今この時点で施主を説得し、設けた方がよいといった方が懸命であろう。

必要に応じて施主を消防署につれていくなど、消防署と施主が万一惨事が起きたとしても、設計者に責任はないとの立場を明確にしておく必要があるであろう。

ここまでは、消防活動空地を無くすなどの立場から、緩和ができないのかという論調になってしまったが、要は全く無くすのではなく、規模の縮小や、配置の方向そして周囲空地等を利用できないかなど、様々な視点において話す必要があることも忘れてはならない。

消防署と建て主が相折り合うところで着地できることが要である。当然、その空地の整備においては建て主が工事費を負担することになるので、費用は少なくしたいし、土地も有効的に利用したいと思うであろう。

一方消防は、安全を最優先に考え、如何様な時でも人命を救えるような体制になるように指導をしてくるはずである。この互いの意思の違いを設計者が間に立ち、両者が納得できるように手助けをしていきたいものである。

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最後に

いかがであったであろうか、今回は消防活動用空地について、説明をしてきた。消防活動用空地は規模も大きくなることから、敷地の有効活用を縮小してしまう可能性があるが、本来の目的である人命優先という目的を決して忘れてはならない。

あくまでも設計者は法令遵守という立場を貫かなくてはならない。法令を遵守していく中で、施主によきアドバイスをすることができるのが、設計者としての役割であろう。

いかに敷地面積が苦しい場合においても、設置が必要になるとの見解を早めに把握し、施主とその概念を共有することである。施主が思い描いていた、計画が崩れるかもしれないが別の案にてそれは解決をすることができるかもしれない。

大事なのは、問題は初期の段階で洗い出し、事業が進められることを施主と共有するところまで進めていくことである。

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