知っておくべきポイント15 避難はしごの設置基準

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建築物にとって大事な要素の一つである、避難についであるが、ご存知の通り、建築基準法、消防法によって規定されている。

建築設計者などにおいては、法律的に必要だからという点だけで、平面図にプロットすることで済ませてはいないだろうか?

避難規定においては2方向避難の規定があり、階段を2つ設けたり、避難はしごや避難ハッチなどを利用して2方向の避難経路を確保することが多い。

その中でも、よく利用されるのが「避難はしご」である。

2つの階段だけでは、避難経路を担保できない場合などに利用されている。

精度の高い知識を得ることで、設計幅は格段に広がるものである。

ここでは、避難はしごについて知っておきたいポイントについて解説していきたい。

 

そもそも避難はしごってなんだろうか?

避難はしごという言葉から避難をする為のはしごであるとは容易に想像がつくだろう。だか、避難はしごがどんな種類があって、どんな規定で定められているのかを深く考えたことはないだろう。

避難はしごの種類は、使用方法により、固定はしご、立てかけはしご、つり下げはしご、ハッチ用つり下げはしごの4種類に分けられる。

 ・固定はしご

読んで字のごとく建築物に固定されているもので、常時使用可能な状態のものであるものや、伸縮式で利用時にはしご形状になったりするものである。

・立てかけはしご

建築物に立てかけて使うはしごを言う。普段は収納されており、必要になったときに使うものである。

・つり下げはしご

前段の立てかけはしごが、下階から上階へ立てかけるものであるのに対し、上階から下へ吊り下げて使用するものが吊り下げはしごである。

・ハッチ用はしご

マンションに住んでいる方は見かけているかと思うが、普段は床の中に格納されており下階に避難する時に開くと下階に渡るはしごが出てくるしくみのものである。

まずは、避難はしごが4分類にわかれることがおわかりいただけたかと思う。

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避難はしごは避難器具の一部に過ぎない!避難用タラップは別のものである。

知識のある方はお気づきであろうが、避難はしごの話しを読み進めていると、避難器具という言葉が浮かんでくるのではないだろうか。直ぐに避難はしごが避難器具の一部に過ぎないとわかれば何ら問題はないが、少しわからないようであればここからの内容を読んでいだたき、知識に入れておいていだたきたい。

避難器具の種類は、消防法施行令第25条第2項の表において、8種類の避難器具(滑り棒、避難ロープ、避難はしご、避難用タラップ、滑り台、緩降機、避難橋、救助袋)で規定されている。

この中に避難はしごという言葉がある通り、避難はしごは避難器具の一部であることがおわかりいただけるだろう。

まずは、混同しないように注意して覚えていただきたい。

上に示す条文の中で、避難用タラップという言葉が登場する。はしごとタラップという言葉、一見すると同じ言葉だと感じてしまうのではないだろうか。

避難器具の大手メーカーである松本機工株式会社が定義をまとめているので紹介しておきたい

避難はしご

縦棒と横桟で構成される所謂「はしご」である。金属製と金属製以外のものがあり、それぞれ、固定はしご、立てかけはしご、つり下げはしご、ハッチ用つり下げはしご(金属製に限る)に分類される。

避難用タラップ

階段状のもので、使用の際、手すりを用いるものをいう。タラップとはオランダ語の trap(階段)が語源と言われている。

 

避難上有効なバルコニーについて確認しておこう

建築基準法を読み進めると避難上有効なバルコニーという言葉が何度も出てくるのであるが、避難上有効なバルコニーの明確な定義は法文上出てこないことはご存知だろうか。

まずはどのような条文に避難上有効なバルコニーが出てくるのか確認しておこう。

(避難施設等の範囲)

第十三条

法第七条の六第一項 の政令で定める避難施設

(略)

二 第百十八条の客席からの出口の戸、第百二十条又は第百二十一条の直通階段、同条第三項ただし書の避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの、第百二十五条の屋外への出口及び第百二十六条第二項の屋上広場

(略)

(耐火建築物とすることを要しない特殊建築物の技術的基準等)

第百十五条の二の二

法第二十七条第一項 ただし書(法第八十七条第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の政令で定める技術的基準は

(略)

二 下宿の各宿泊室、共同住宅の各住戸又は寄宿舎の各寝室(以下「各宿泊室等」という。)に避難上有効なバルコニーその他これに類するものが設けられていること。ただし、各宿泊室等から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路が直接外気に開放されたものであり、

(略)

四 建築物の周囲(道に接する部分を除く。)に幅員が三メートル以上の通路(敷地の接する道まで達するものに限る。)が設けられていること。ただし、次に掲げる基準に適合しているものについては、この限りでない。

イ 各宿泊室等に避難上有効なバルコニーその他これに類するものが設けられていること。

(略)

(二以上の直通階段を設ける場合)

第百二十一条

建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。

(略)

三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(五階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である五階以下の階でその階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えないものを除く。)

イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー

ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設

ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)

ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設

ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗

(略)

前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの

イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)

ロ 五階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあっては二百平方メートルを、その他の階にあっては百平方メートルを超えるもの

(略)

3 第一項の規定により避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の二分の一をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。

以上のように条文には「避難上有効なバルコニー」という言葉が出てくる。だが、条文の中には避難上有効なバルコニーの明確な定義は存在していないのである。

では、どのような解釈で避難上有効なバルコニーとすれば良いのかを「防火避難規定の解説」(ぎょうせい)が取りまとめている。

バルコニーについての7項目を以下に示す。

バルコニーの位置は、直通階段の位置とおおむね対称の位置とし、かつ、その階の各部分と容易に連絡するものとすること。

バルコニーは、その1以上の側面が道路等又は幅員75㎝以上の敷地内の通路に面し、かつタラップその他の避難上有効な手段により道路等に安全に避難できる設備を有すること。

バルコニーの面積は、2㎡以上(当該バルコニーから安全に避難する設備の部分を除く。)とし奥行きの寸法は75㎝以上とすること。

バルコニー(共同住宅の住戸等に附属するものを除く。)の各部分から2m以内にある当該建築物の外壁は耐火構造(準耐火建築物にあっては準耐火構造)とし、その部分に開口部がある場合は、特定防火設備又は両面20分の防火設備を設けること。

屋内からバルコニーに通ずる出入口の戸の幅は75㎝以上、高さは180cm以上及び下端の床面からの高さは15㎝以下とすること。

バルコニーは十分外気に開放されていること。

バルコニーの床は耐火構造、準耐火構造その他これらと同等以上の耐火性能を有するものとし、かつ、構造耐力上安全なものとすること。

 

避難はしごの設置はどの法律に記載されているかを知ろう。

続いては、避難はしごの設置がどの法律に記載されており、どのような計画の時には、避難はしごについて考えておかなければならないかをまとめてみたい。

・建築基準法の2以上の直通階段が必要な建物の時

建築基準法ではある一定の規模以上になると、2以上の直通階段を必要とする。これは、利用者が2方向から逃げられるようにすることで、避難の安全性を確保するものであるが、ただ2つ目を設けなくて良い緩和規定がありそれが避難はしご等を設けることである。

法律を確認しながら、見ていこう。

(建築基準法施工令121条)

建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。

(略)

三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(五階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である五階以下の階でその階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えないものを除く。)

イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー

ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設

ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)

ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設

ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗

(略)

前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの

イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)

ロ五階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては二百平方メートルを、その他の階にあつては百平方メートルを超えるもの

3 第1項の規定により避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の1/2をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。

この条文から確認できるのは、

避難上有効なバルコニーを設けた場合は、2以上の直通階段を緩和できるとしていることである。

ただ、注意していただきたいのは、直通階段を屋外避難階段もしくは特別避難階段にしなければならないことである。単なる直通階段では不適切となる。

・重複区間の歩行距離が規定の1/2を越えてしまう場合に緩和する為に設ける場合

前渇したように、避難上有効なバルコニーを設けることで、重複歩行距離1/2を越えた場合に緩和することができる。

・消防法上必要となる場合

消防法においての避難はしごが必要となる要件は避難器具の基準からアプローチである。

避難器具を設置する防火対象物については、消防法施行令第25条第1項に規定されている。

まずは条文を下記に示す。

消防法施行令第25条第1項

避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び11階以上の階を除く。)に設置するものとする。

1 別表第1(6)項に掲げる防火対象物の2階以上の階又は地階で、収容人員が20人(下階に同表(1)項から(4)項まで、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項又は(15)項に掲げる防火対象物が存するものにあっては、10人)以上のもの

2 別表第1(5)項に掲げる防火対象物の2階以上の階又は地階で、収容人員が30人(下階に同表(1)項から(4)項まで、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項又は(15)項に掲げる防火対象物が存するものにあっては、10人)以上のもの

3 別表第1(1)項から(4)項まで及び(7)項から(11)項までに掲げる防火対象物の2階以上の階(主要構造部を耐火構造とした建築物の2階を除く。)又は地階で、収容人員が50人以上のもの

4 別表第1(12)項及び(15)項に掲げる防火対象物の3階以上の階又は地階で、収容人員が、3階以上の無窓階又は地階にあつては100人以上、その他の階にあつては150人以上のもの

5 前各号に掲げるもののほか、別表第1に掲げる防火対象物の3階(同表(2)項及び(3)項に掲げる防火対象物並びに同表(16)項イに掲げる防火対象物で2階に同表(2)項又は(3)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものにあつては、2階)以上の階のうち、当該階(当該階に総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分)から避難階又は地上に直通する階段が2以上設けられていない階で、収容人員が10人以上のもの避難器具の設置の有無については、階を単位とし、その階の用途と収容人員により判定する。

条文だけではわかりにくいので早見表で示す。

http://www.shobokizai.com/hinankigu/hinansetti.pdf

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避難はしごの設置を要求されるのは?どんな建物か

建築基準法及び消防法の中に、避難はしごと関係する法律があることが整理された。だが、法律を確認してきただけなので、十分に整理されていないだろう。

ここでが、避難はしごを設置する必要性がある建物要件について整理をしておく。

・消防法における設置

消防法による避難はしごの設置は、建物用途、収容人員、階によって決まる。

まずは、今回計画する建物がどの用途にあたるのかを確認し、該当人員を超えていないかを確認する作業からである。上記に記した、表を活用することでだいたいのことはわかるだろう。

また、避難はしごは基本的にはどの用途においてもどの階においても設置できると考えては良いが、病院や保育所などは、3階以上の階に設置できないので注意が必要である。

・避難上有効なバルコニーによる設置

2以上の直通階段や重複距離を緩和する為に、避難上有効なバルコニーを設置する。避難上有効なバルコニーを構成する為に、避難はしごを設置する。

避難はしごを設置するのは、上記のように2つに大きく分けることができる。

ただ、この2つの分類は大きく意味が異なるものである。消防法における避難はしごの設置は「しなければならない」の意味合いを持ち、避難上有効なバルコニーによる設置は、「設置すれば緩和できる」というニュアンスを持つ。

 

避難はしごの技術基準

避難はしごの設置基準が整理されたところで、避難はしごの技術基準を確認しておきたい。

・種別

固定はしご・立てかけはしご・つり下げはしごの3つに分類される。

・構造(避難はしご全て共通)

縦棒の間隔は、内のり寸法で30cm以上50cm以下とする。

横桟は、縦棒に同一間隔で、25cm以上35cm以下とする。

横桟の断面は、直径14mm以上35mm以下の円形、又は同等の握り太さの形状のものとする。

横桟の踏面に滑り止めの措置を講じる。

○固定はしごの構造

振動により止め金の部分が容易に外れない保安装置を設ける。

○立てかけはしごの構造

上部支持点に滑り止めおよび転落を防止するための安全装置を設ける。

下部支持点に滑り止めを設ける。

○つり下げはしごの構造

使用の際に防火対象物から10cm以上の距離に保つための突子を設ける。

ただし、壁面から10cm以上の距離を保有できるものについてはこの限りではない。

縦棒の先端には容易に外れないようにつり下げ金具を設ける。

・材質

はしごの材質として、金属製のものと、それ以外のものに分類される。

なお、金属製の避難はしごは、緩降機と同様に、消防法第21条の2および消防法施行令第37条に規定される「検定対象機械器具等」にあたる。その構造・仕様は、自治省令第3号「金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令」(昭和40年1月12日)に規定されている。

それ以外の避難はしごは、消防庁告示第1号「避難器具の基準」(昭和53年3月13日)に規定されている。

金属製の避難はしごが国家検定の対象品目に指定されていること、その構造・仕様が自治省令に、また、その他のものについては消防庁告示に、それぞれ規定されていることについてはすでにふれた。

いずれにしても、実際の設計業務の中では、メーカーによる既製品の選定ということがほとんどである。したがって、これらの構造・仕様については特段気にすることはないだろう。

ただし、各製品について、金属製のものについては検定品であること、あるいはそれ以外のものについては、告示の仕様を満足していることについては確認しておく必要がある。

避難器具の設置に関する基準については、消防法施行規則第27条にその細目が規定されている。避難はしごについては、固定はしご・つり下げはしごについて、それぞれ第1項第4号・第5号に基準の細目がある。

また、その他の細目が前段の告示「避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目」に規定されている。以下、告示の内容を中心に、簡単にまとめると以下の通りとなる。

○ 避難はしごを設置する開口部(壁)について、

・高さ0.8m以上×幅0.5m以上又は高さ1.0m×幅0.45m以上

・開口部の下端は床から1.2m以下(高さが1.2m以上の場合はステップ等を設ける)

・開放状態で固定できること

○ 避難はしごを設置する開口部(床)について、

・開口部の大きさは直径0.5mの円が内接できる大きさ以上

○ 降下空間(避難器具設置階から地盤面まで器具周囲に確保すべき空間)について、

・ハッチ用吊り下げはしごはハッチの開口部面積以上

・その他のはしごは幅が縦棒の外側0.2m×奥行きがはしご面から0.65mの角柱形の範囲

・降下空間と架空電線との間隔1.2m以上確保

・下ぶた避難器具用ハッチの下ぶたの下端は、開いた場合に床面上1.8m以上

なお、避難階に必要な避難空地、避難通路については、ハッチ用吊り下げはしご・その他のはしごとも、降下空間の最大幅員が必要となる。その他のはしごの場合、幅が1.0mを超える場合は、有効幅員は1.0m以上が必要となる。

・設置緩和について

避難器具(避難はしご)の設置における緩和について順に解説する。尚、避難器具(避難はしご)における、緩和の考え方は収容人員の倍読みで設置を緩和できる。

令第25条第2項第1号の条文に規定されているが、収容人員がそれぞれ100人、200人、300人ごとに設置個数が定められている。規則第26条第1項では、この収容人員について下記の条件を満たす場合に、その数字を2倍した人数に読み替えることができる。

一 主要構造部が耐火構造

二 避難階段・特別避難階段が2以上設けられていること

収容人員が倍になることで、複数必要な避難器具が減らすことができる。避難階段・特別避難階段の設置によって設置免除となる。

避難器具の設置を要する階に、避難階へ通じる避難階段・特別避難階段がある場合、その階段の数だけ避難器具を減らすことができる。減じた結果が1未満となる場合は、避難器具を設置しないことができるので、設置免除となる。

ただし、このときの避難階段については注意が必要である。条文では「屋外に設けるもの及び屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するものに限る」とあり、屋外避難階段については条件はないが、屋内避難階段については、消防庁告示第7号(平成14年11月28日)の規定を満足する屋内避難階段のみ対象となる。

具体的には、各階ごとに直接外気に開放された、排煙のための開口部を有する避難階段で、開口部が下記の二条件をみたすものと規定されている。

 一  開口部の開口面積は、2㎡以上であること

 二  開口部の上端は、当該階段の部分の天井の高さの位置にあること。

ただし、階段の部分の最上部における当該階段の天井の高さの位置に500c㎡以上の外気に開放された排煙上有効な換気口がある場合は、この限りでない。

 

渡り廊下・屋上避難橋による減免の条件とは?

主要構造部を耐火構造とした防火対象物に、渡り廊下を設けたり、その屋上に避難橋を設けた場合、渡り廊下を設置した階、また避難橋の場合はその直下階において、渡り廊下および避難橋の数を二倍した数だけ避難器具を減らすことができる。

この場合も前段と同様、減じた結果が1未満となる場合は、避難器具を設置しないことができる。ただし、渡り廊下・避難橋ともそれぞれ下記のとおり条件がある。

・共通

主要構造部が耐火構造

 ・渡り廊下

一 耐火構造又は鉄骨造であること。

二 渡り廊下の両端の出入口に自動閉鎖装置付きの特定防火設備(シャッターを除く)が設けられていること。

三 避難、通行及び運搬以外の用途に供しないこと。

・避難橋

直下階から屋上に通じる避難階段・特別避難階段が2以上設けられていることにくわえ、下記のとおり

避難橋が設置されている屋上広場の有効面積は、100㎡以上であること。

屋上広場に面する窓・出入口が特定防火設備又は鉄製網入りガラス入り戸出入口から避難橋に至る経路に避難上の支障がない

避難橋に至る経路に設けられている扉等は、避難のとき容易に開閉できるもの

渡り廊下・避難橋とも、複数の建築物相互間のものであるから、この場合の緩和はそれぞれの防火対象物双方に対して適用できる。また、渡り廊下については法文上必ずしも空中とは限定していない。したがって、地階相互間の渡り廊下についても同様に適用できる。

 

避難器具を設置しないことができる階①

防火対象物の種類に応じて、イ~への6つの条件を満足する防火対象物の階について、避難器具の設置を免除している。

○ (12)項工場等、(15)項その他事務所等:下記3条件

イ 主要構造部が耐火構造

ホ 直通階段を避難階段・特別避難階段としたものであること

ヘ バルコニー等が避難上有効に設けられているか、又は2以上の直通階段により、階のあらゆる部分から重複経路なしに二方向避難が可能であること

○ ()項~(11):上記の3条件にくわえ、

ニ 内装の仕上げを準不燃、又はスプリンクラー設備を階の主たる用途すべての部分に設置

○ ()項~():上記の4条件にくわえ、

ロ 階を耐火構造の壁・床で区画(開口部は特定防火設備・または鉄製網入ガラス入りの戸)

ハ ロで区画された部分の収容人員が、令第25条第1項各号の収容人員の数値未満

 

避難器具を設置しないことができる階②

次に示す条件を満足した階には避難器具を設置しないことができる。

 主要構造部が耐火構造

 居室の外気に面する部分にバルコニー等が避難上有効に設けられており、かつ、当該バルコニー等から地上に通ずる階段・避難設備・避難器具等で避難が可能であるか、又は他の建築物に通ずる設備・器具が設けられていること

バルコニー等を経由した二方向避難を確保した階について、避難器具の設置を免除している。一見して第1項における(12)項・(15)項の規定と類似して読めるが、階段についての規定がないため、このときの階段は、避難階段・特別避難階段である必要はない。

またバルコニー等に避難器具を設置することで避難器具の設置を免除するのは一見奇異に思えるが、多数の避難器具の設置を要する階については、結果として減免となる。

なお、この規定については、(5)項ホテル・共同住宅等、(6)項病院・保育所等に限り、バルコニー等ではなくバルコニーに限られ、またバルコニーから避難する経路も階段に限られる。

 

避難器具を設置しないことができる階③

次に示す条件を満足した階には避難器具を設置しないことができる。

 主要構造部が耐火構造

 居室・住戸から直通階段に直接通じており、直通階段に面する開口部には特定防火設備を設けたもの

 直通階段が避難階段(屋内避難階段については告示第7号の規定を満足)・特別避難階段

 収容人員が30人未満

先に第2項の減免で解説した告示第7号の規定があるように、いわゆる階段室型の共同住宅を想定した緩和規定といえる。

第2項と重複するようだが、構造や収容人員等、こちらの第5項第3号のほうが条件が多い。こちらの免除規定の条件を満足できない場合には第2項の減免規定が用意されているかたちである。

階段に面する特定防火設備は、常時閉鎖または煙感知器連動の自動閉鎖でくぐり戸が設けられているものでなければならない。

 

小規模特定用途複合防火対象物における設置免除

小規模特定用途複合防火対象物とは、施行規則第13条第1項第2号に規定される、複合用途防火対象物(令別表第1(16)項イ)のひとつである。

具体的には複合用途のうち、令別表(1)項~(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イの用途部分の床面積の合計が延面積の1/10以下であり、かつ、300㎡未満であるものをいう。

この小規模特定用途複合防火対象物のうち、(5)項ホテル・共同住宅等、(6)項病院・保育所等を有する階が、下記の条件を満足する場合、避難器具を設置しないことができる。

 下階に令別表第1(1)項~(2)項ハ、(3)項、(4)項、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項、(15)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存しないこと。

 避難階又は地上に直通する階段が2以上設けられていること。

 収容人員:(5)項ホテル・共同住宅等は20人未満、(6)項病院・保育所等は30人未満

→無料プレゼント『知らないと恥を書く!建築関係者が絶対に知っておくべき法令大百科』PDF

 

屋上広場による設置免除の条件とは?

主要構造部が耐火構造の防火対象物が、下記に示す条件を満足する屋上広場を有する場合、その屋上広場の直下階には避難器具を設置しないことができる。

ただし、その階から屋上広場に通ずる避難階段・特別避難階段が2以上設けられている必要がある。また、その階の用途が令別表第1の(1)項 劇場・集会所等、及び(4)項 物販店等である場合はこの規定は適用できない。

 屋上広場の面積が1,500㎡以上

 屋上広場に面する開口部が特定防火設備・鉄製網入ガラス入りの戸

 屋上広場から避難階又は地上に通ずる直通階段で避難階段(屋内避難階段については告示第7号の規定を満足)・特別避難階段・その他避難設備・避難器具が設けられていること。

 

重要!計画時の注意点

固定はしごのように建築物と一体化しているものは、泥棒などがそれを使って侵入するおそれがあるので、外部の人間が簡単に固定はしごのある場所まで行けないようにするなど、防犯対策を考えながら設置する必要がある。

 

設置後の点検

避難はしごは消防設備の一部として設置される、消防設備は年に1回の定期点検が定められており点検資格者が、避難はしごの点検をし、所轄消防署への点検報告が義務付けられている。

昨今の建物計画に対する考え方は、ライフサイクルコストという考え方に基づく計画をする必要性が出ているものが増えている。

ライフサイクルコストは簡単に言えば、建設時にかかる工事費や設計費などをイニシャルコストとし、建物完成後にかかる維持費用、修繕費、点検費などを合わせたランニングコストを合わせた費用をライフサイクルコストとして定義し、当初の建設費だけでなく、完成後にもいくらかかるのかを意識し、設計の考え方に取り入れているパターンが増えている。

設計者としては、説得力をます為にも考え方を取り入れていきたいものだ。

また、点検費用などがいくらかかるのかも、施主から求められることもあるだろうから答えられるようにしたいものだ。

以下に消防設備点検の概要をまとめるので確認いただきたい。

目的

消防用設備点検報告とは、消火器やスプリンクラー設備、自動火災報知設備などの消防用設備が、火災の際に正常に作動しないと人命にかかわることから、定期的に点検し、管轄する消防署へ報告する制度である

点検種類頻度、報告頻度

6カ月に1回の機器点検と1年に1回の総合点検を行う必要がある。

機器点検:外観又は簡易な操作による確認をする点検
総合点検:実際に消防設備を作動させ、総合的な機能を確認する点検

行った点検を建物の用途によって決められた期間ごとに提出する必要がある。

◆特定防火対象物 1年に1回の報告
(用途例:物品販売店舗、ホテル、病院、飲食店など不特定多数の人が出入りする建物)
◆非特定防火対象物  3年に1回の報告
(用途例:工場、事務所、共同住宅、学校、駐車場等)

点検者

消防設備士又は消防設備点検資格者

報告先

所轄消防署

 

避難はしごを取り扱うメーカー

避難はしごを計画する上で、製品の特質やラインナップなどを把握することも大事なポイントになる。

ここでは、避難はしごを取り扱うメーカーを紹介していきたい。

①松本機工株式会社

避難はしご等をはじめとした避難器具を主力に扱うメーカーである。各方面に拠点を持っている。本社は東京に置かれている。

オリローブランドで、固定式避難はしご、吊り下げ式避難はしご、ハッチ式避難はしごを取り扱っている。詳しくはホームページを確認していただきたい。

http://www.oriro.co.jp/

②ナカ工業株式会社

ナカ工業株式会社は、建築金物メーカーの位置づけである。手摺等を主力に扱っているが、避難器具のラインナップもある。従業員は500名弱おり、営業拠点は各方面に持っている。

避難ハッチ式の避難はしご、固定式避難はしご又特殊な商品であるが、一動作型の収納式避難はしごも取り扱っている。詳しくはホームページを確認していただきたい。

http://www.naka-kogyo.co.jp/

③ヤマトプロテック

防災メーカーと呼んだ方が良いだろう、主力は消火器などの消火器具であるが、避難器具の取り扱いも行なっている。消化器などではお目にかかることがあるのではないだろうか。東京に本社を置き、大阪に事業所を持っている。

レクスターというブランド名で、ハッチ式の避難はしごを展開している。詳しくはホームページを確認いただきたい。

http://www.yamatoprotec.co.jp/

④城田鉄工株式会社

吊り下げ式の避難はしごを主に取り扱うメーカーである。大阪に本社を置く。詳しくはホームページを確認いただきたい

http://www.shirota-tekkou.co.jp/

 

最後に

建築法令は多岐に渡り、中々整理することは大変な作業である。消防設備士などは特別かもしれないが、建築士などは、ただ避難はしごだけの設計をしている訳ではないので、整理がついていないのも当たり前であろう。

当然詳細なことまでも抑えることに越したことはないが、限界のある話しではないだろうか。

情報が容易に得られるようになった昨今、多岐にわたる情報から如何に正解な情報を的確に選ぶかが大事な話しとなってくるであろう。

今回の避難はしごについては、膨大な条文、難解な条文において必要とされる箇所を整理すると共に、計画時に整理しておくべきものをまとめたものである。

要点をしっかり掴み、実践で考えながら計画に役立てていただければ幸いである。

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