知っていなければ恥をかく!非常用進入口と消防法との関連とは?

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非常用進入口について詳しく知りたいので、教えてほしいと言われた時、咄嗟に頭の中にイメージを作り上げることはできるだろうか?

建築実務を仕事にしている皆さんは、非常用進入口については当然ご存知かと思う。

規格住宅などとも言われるように建築の画一化は進んでいるが、本来自由な思想を持つべき設計者も決められたルールの中でしか設計をできなくなっている技術者も増えている。

ひとたび自分の領域を超えてしまった場合はお手上げとなってしまう設計者もいるのではないだろうか。経験の浅い設計者などは日頃の実務に一生懸命になるが故に、知識の偏りができてしまう懸念がある。

だが、顧客からしてみると、建築士などの知識を有するなら豊富な知識を持ち何でも知っているのではないかと思っているのが普通だろう。

建築士は会社に俗する所員ではあるかもしれないが、公的な資格を有する技術者である事を忘れてはならない。

この記事では、改めて知識を深めたい方も、新たに知識を得たい方も、読み進めていただき、実務に役立てていただきたい。

 

非常用進入口って何?と言われたら適切に説明でき

施主が商業施設を建てたい時、建物のファサードは計画上の重要なポイントとなるだろう。そこにイメージを壊してしまいそうなものを付属しないと行けない時には施主も残念な気持ちとなってしまうであろう。

非常用進入口は消火活動上必要となるものなのでイメージを壊すと言っては失礼にあたるかもしれないが、施主がイメージするものと合致しないのであれば、問題となるであろう。

設計をするものとしては、非常用進入口というものが必要になるという事を強く主張しておかなければならない事は肝に命じていただきたい。

非常用進入口が必要になりますと施主に説明すると、施主は非常用進入口って何ですかという質問が必ずといってよい程返ってくるであろう。

この質問が来た時に、的確な回答はあなたはできるであろうか?

ひとつひとつのやり取りが施主の信頼を掴んでいく為にも、的確に説明をしたいものである。

回答をするのであれば以下の内容であろう。

「非常用進入口は火災時に消防隊が突入する為の出入り口で、消防隊が出入り口を一目でわかるような設えをする必要があります。」

 

非常用進入口は建築基準法に定められている!消防法には定められていない。

非常用進入口のことを詳しく語る上で、当然掴んでいないといけないのは、法律的な根拠である。

施主はこのように質問してくるだろう?「非常用進入口が必要なのはわかったがどうして必要なのか?お金を払って作る訳だからちゃんと、根拠を示してくれないと困る。」

この法律的な根拠がないのであれば、それを設置するかしないかは施主の判断に任せることになるのだからしっかり述べる事が出来なくてはならない。

非常用進入口の規制法は建築基準法である。消防隊が利用するものであるので、消防管轄となっている気がしてしまうが、消防法には記載なく、建築基準法に定められている。

大事なポイントであるので、しっかりと抑えていなければならない。

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非常用進入口が必要となる建物とは3階以上の階を有する建物である。

建物を計画してほしいと言われた時に咄嗟にこの建物は非常用進入口が必要な建物になりそうだなと気づく事ができるかである。

一般的に設計の段階として、基本設計、実施設計と経過を積んで工事に入っていく訳であるが、実施設計の最終段階で非常用進入口が必要だとわかっても、建物の計画は進めば進むほど修正することが難しくなるものである。

そのような事態に陥らない為にもまずは、この建物は非常用進入口が必要な建物であるかも知れないと気づく事が大事である。

ではその法的な根拠を追いながら確認していこう。

<建築基準法施行令 第126条の6>

建築物の高さ三十一メートル以下の部分にある三階以上の階(不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階又は国土交通大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階で、その直上階又は直下階から進入することができるものを除く。)には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

一  第百二十九条の十三の三の規定に適合するエレベーターを設置している場合
二  道又は道に通ずる幅員四メートル以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に窓その他の開口部(直径一メートル以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、七十五センチメートル以上及び一・二メートル以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないものに限る。)を当該壁面の長さ十メートル以内ごとに設けている場合

非常用進入口に関連する条文は、建築基準法施行令第126条の6である。この条文の冒頭に設置が必要となる建物の規模が示されている(アンダーライン部分)。

「建築物の高さ三十一メートル以下の部分にある三階以上の階には、非常用の進入口を設けなければならない」

との条文であるが、この条文は非常用進入口の設置する位置を示しているが、これを設置が必要となる建物は?という解釈にたつと

「3階以上の階を有する建物」という事になる。

まずは、この内容を頭にたたき込んでいただきたい。

そうすれば、「3階以上の建物を計画する時には非常用進入口が必要になるかもしれない」という頭になるであろう。

察しの良い人は気づくであろう、建物には用途があるがその用途は加味されないのだろうか?答えは、用途には関係はないである。頭にいれておいていただきたい。

 

どのような場所に必要か?非常用進入口の設置基準

3階以上の階に必要なのだという事はお解りいただけたかと思う。では、どの部分に設置する必要があるのだろうかと思うであろう。

非常用進入口を様々な建物で見たことがあるかと思う、そのような建物の非常進入口はどこについているであろうか。だいたい道路等に面していないだろうか。それが答えなのである。

ここでは設置基準も合わせながら法的根拠を基に確認をしていこう。

<建築基準法施行令第126条の7 構造>

前条の非常用の進入口は、次の各号に定める構造としなければならない。

一 進入口は、道又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に設けること。

二 進入口の間隔は、40m以下であること。

三 進入口の幅、高さ及び下端の床面からの高さが、それぞれ、75cm以上、1.2m以上及び80cm以下であること。

四 進入口は、外部から開放し、又は破壊して室内に進入できる構造とすること。

五 進入口には、奥行き1m以上、長さ4m以上のバルコニーを設けること。

六 進入口又はその近くに、外部から見やすい方法で赤色灯の標識を掲示し、及び非常用の進入口である旨を赤色で表示すること。

七 前各号に定めるもののほか、国土交通大臣が非常用の進入口としての機能を確保するために必要があると認めて定める基準に適合する構造とすること

1号から7号まで、設置基準が示されている。

1号、2号では設置位置を示している。

3号、4号では進入口の構造。5号では、進入口にはバルコニーを設けること。6号では、進入口には赤色表示灯をつけることが示されている。

気になるのは、4号に示されている、容易に破壊できる構造とは何か。また、7号の国土交通大臣が定める基準とは何かであろうか。

では、4号から解説しておく。非常用の進入口は一般的にガラスなどで構成されているパターンが多い。出入り口の扉や窓については、大きさ等は指定されているが、具体的な構造については触れられていない。

消防隊が建物に進入するとき、どのような行動をするのかを想像していただきたい。

窓形状でできている場合、その窓を開けて進入するだろう。だが、鍵は開いているのだろうか?例えば、普通の掃き出し窓であると、クレセントで固定されているだろう。

扉等であると、鍵を電気錠などにし、火災時には自動火災報知器などから信号をおくり開錠をする事も可能であるが、普通のガラス窓などにおいてはそれは難しいかもしれない。

よってガラス等を容易に破壊できるものとするという規定があるのである。

だがガラスにも様々な種類があり、消防隊が容易に破壊できないものもある。取扱いは、法的には規定はされていない。詳しくは、所轄の消防署に指導を仰ぐのが間違いないであろう。

参考に兵庫県姫路市では、指導基準として以下のように定めているので確認をしていただきたい。

http://www.city.himeji.lg.jp/var/rev0/0097/0043/2016428205837.pdf

第8 非常用の進入口

3代替開口部

(4) 次の構造の開口部は、代替開口部として扱えるものである。

ア屋外から開放できる窓等

イ はめ殺しの窓等

(ア) 普通板ガラス(旧 JIS R 3201)、フロート板ガラス(JIS R 3202)、磨き板ガラス(JIS R3202)、型板ガラス(JIS R 3203)、熱線吸収板ガラス(JIS R 3208)又は熱線反射ガラス(JIS R 3221)(ガラスの厚さが6mm 以下のもの)

(イ) 強化ガラス(JIS R 3206)又は耐熱板ガラス(ガラスの厚さが5mm 以下のもの)

(ウ) ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)製窓ガラス用フィルム(JIS A 5759)に規定するもの。以下同じ。)のうち、多積層(引裂強度を強くすることを目的として数十枚のフィルムを重ねて作られたフィルムをいう。以下同じ。)以外で、基材の厚さが 100μm以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア)又は(イ)のガラスに貼付したもの

(エ) 塩化ビニル製窓ガラス用フィルムのうち、基材の厚さが 400μm 以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア)又は(イ)のガラスに貼付したもの

(オ) 前(ア)又は(イ)に金属又は酸化金属で構成された薄膜を施した低放射ガラス(通称Low-E膜付きガラス)

(カ) PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層以外で、基材の厚さが 100μm を超え 400μm以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア)又は(イ)のガラスに貼付したもので、バルコニー、屋上広場等の破壊作業のできる足場(奥行き1m以上、かつ、長さ4m以上のもの。以下同じ。)が設けられているもの

(キ) PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層で、基材の厚さが 100μm 以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア)又は(イ)のガラスに貼付したもので、バルコニー、屋上広場等の破壊作業のできる足場が設けられているもの

(ク) 複層ガラス(JIS R 3209)で、その2枚以上の材料板ガラスがそれぞれ前(ア)から(キ)までのいずれかにより構成されているもの

(ケ) 前(ア)から(ク)まで以外であって、窓を容易にはずすことができるもの

ウ  屋内でロックされている窓等

次に掲げるガラス窓等のうち、当該ガラスを一部破壊することにより外部から開放することができるもの。(窓に設置される鍵(クレセント錠又は補助錠をいう。)は2以下で、別個の鍵を用いたり暗証番号を入力したりしなければ解錠できないような特殊なクレセントやレバーハンドル等が設置されていないものに限る。)

なお、(ア)及び(エ)のガラス窓等(窓ガラス用フィルム等を貼付したものを含む。)については、イの「はめ殺しの窓等」として取り扱うことができる。

(ア) 普通板ガラス、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラス又は熱線反射ガラス入り窓等(ガラスの厚さが6mm 以下のもの)

(イ) 網入板ガラス(JIS R 3204)又は線入板ガラス(JIS R 3204)入り窓等(ガラスの厚さが 6.8mm 以下のもの)

(ウ) 前(イ)以外の網入板ガラス又は線入板ガラス入り窓等で、バルコニー,屋上広場等の破壊作業のできる足場が設けられているもの(ガラスの厚さが 10mm 以下のもの)

(エ) 強化ガラス又は耐熱板ガラス入り窓等(ガラスの厚さが5mm 以下のもの)

(オ) 合わせガラス(JIS R 3205)入り窓等(フロート板ガラス 6.0mm 以下+ポリビニルブチラール(以下「PVB」という。)30mil 以下+フロート板ガラス 6.0mm 以下、網入板ガラス 6.8mm 以下+PVBPVB30mil 以下+フロート板ガラス 5.0mm 以下、フロート板ガラス6.0mm 以下+エチレン酢酸ビニル共重合体中間膜(株式会社ブリヂストン製のものに限る。以下「EVA」という。)0.4mm 以下+PETフィルム 0.13 ㎜以下+EVA中間膜 0.4mm 以下+フロート板ガラス 6.0mm 以下、フロート板ガラス 6.0mm 以下+EVA中間膜 0.8mm 以下+フロート板ガラス 6.0mm 以下、網入板ガラス 6.8mm 以下+EVA中間膜 0.4mm 以下+PETフィルム 0.13 ㎜以下+EVA中間膜 0.4mm 以下+フロート板ガラス 5.0mm 以下、網入板ガラス 6.8mm 以下+EVA中間膜 0.8mm 以下+フロート板ガラス 5.0mm 以下)

(カ) 前(オ)以外の合わせガラス入り窓等で、バルコニー、屋上広場等の破壊作業のできる足場が設けられているもの(フロート板ガラス 5.0mm 以下+PVB60mil 以下+フロート板ガラス 5.0mm 以下、網入板ガラス 6.8mm 以下+PVB60mil 以下+フロート板ガラス 6.0mm 以下、フロート板ガラス 3.0mm 以下+PVB60mil 以下+型板ガラス 4.0mm 以下)

(キ) PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層以外で、基材の厚さが 100μm 以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア)から(カ)までのいずれかのガラスに貼付したもの

(ク) 塩化ビニル製窓ガラス用フィルムのうち、基材の厚さが 400μm 以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア) から(カ)までのいずれかのガラスに貼付したもの

(ケ) 前(ア)から(カ)までのいずれかに金属又は酸化金属で構成された薄膜を施した低放射ガラス(通称Low-E膜付きガラス)

(コ) PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層以外で、基材の厚さが 100μm を超え 400μm以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア)から(エ)までのいずれかのガラスに貼付したもの

(サ) PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層で、基材の厚さが 100μm 以下のもの(内貼り用、外貼り用は問わない)を前(ア)から(エ)までのいずれかのガラスに貼付したもの

(シ) 複層ガラス入り窓等で、その2枚以上の材料板ガラスがそれぞれ前(ア)から(サ)(前(ウ)及び前(ウ)に前(キ)から(サ)に示す加工をしたものを除く。)までのいずれかにより構成されるもの

(5) 次の構造の開口部は、代替開口部として扱えないものであること。

ア網入板ガラス、線入板ガラス、合わせガラス又は倍強度ガラスのはめ殺し窓等

イ屋外から開放できない鉄製の扉

ウ 格子、ルーバー、広告物、看板、日除け、雨除け、ネオン管灯設備等により所定の寸法のとれない窓等

続いて7号に示す部分であるが、これは告示にて示されている。

<昭和45年12月28日 建設省告示第1831号

建築基準法施行令第百二十六条の七第七号の規定に基づく非常用の進入口の機能を確保するために必要な構造の基準

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十六条の七第七号の規定に基づき、非常用の進入口の機能を確保するために必要な構造の基準を次のとおり定める。

第一 非常用の進入口又はその近くに掲示する赤色灯は、次の各号に適合しなければならない。

一 常時点灯(フリツカー状態を含む。以下同じ。)している構造とし、かつ、一般の者が容易に電源を遮断することができる開閉器を設けないこと。

二 自動充電装置又は時限充電装置を有する蓄電池(充電を行なうことなく三十分間継続して点灯させることができる容量以上のものに限る。)その他これに類するものを用い、かつ、常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続される予備電源を設けること。

三 赤色灯の明るさ及び取り付け位置は、非常用の進入口の前面の道又は通路その他の空地の幅員の中心から点灯していることが夜間において明らかに識別できるものとすること。

四 赤色灯の大きさは、直径十センチメートル以上の半球が内接する大きさとすること。

第二 非常用の進入口である旨の表示は、赤色反射塗料による一辺が二十センチメートルの正三角形によらなければならない。

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ポイントは4個!非常用進入口の緩和基準

非常用進入口を設置しなければならない建物であることがわかった時、非常用進入口が必要だから建物ファサードについては少々あきらめてくださいというのは、酷な話である。

設計者として考えなくてはならないのは、施主の立場に立った広い設計知識を持ち合わせることである。

ここでは、必ず抑えておくべき非常用進入口の緩和基準を紹介する。

・代替進入口の設置している

非常用進入口を設置する建物を設計したことがある方は必ずご存知であろう。

非常用進入口を設置する代わりに代替進入口というものを設置すれば緩和できるというものである。

以下に根拠条文を示す。

<建築基準法施行令 第126条の6>

建築物の高さ三十一メートル以下の部分にある三階以上の階(不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階又は国土交通大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階で、その直上階又は直下階から進入することができるものを除く。)には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

一  第百二十九条の十三の三の規定に適合するエレベーターを設置している場合
 道又は道に通ずる幅員四メートル以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に窓その他の開口部(直径一メートル以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、七十五センチメートル以上及び一・二メートル以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないものに限る。)を当該壁面の長さ十メートル以内ごとに設けている場合

上記条文下線部に示す箇所が代替進入口についてを示している。

ポイントは以下の通りである。

・代替進入口は10m以内に設置する

・ガラスなどの用件は非常用進入口と同様

・バルコニーは不要である

・赤色灯、表示は不要である

・設置の道路条件は非常用進入口と同様

・非常用エレベーターを設置している

<建築基準法施行令 第126条の6>

建築物の高さ三十一メートル以下の部分にある三階以上の階(不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階又は国土交通大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階で、その直上階又は直下階から進入することができるものを除く。)には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

一  第百二十九条の十三の三の規定に適合するエレベーターを設置している場合
非常用進入口は、建物高さ31mまでの部分に設置することになっている。これは、31mを越す部分には、非常用エレベーターを設置することになっており、非常用進入口が不要であるということである。

法的に31mを越す建物であれば、非常用エレベーターを設置するので、非常用進入口の設置は必要無くなるが、なんらかの理由で31m未満でも、非常用エレベーターを設置すれば、非常用進入口は緩和される。だが、自主的に設置するのはコストや計画上も不利な要因が多いので設置することは稀であろう。

・火災を発生するおそれの少ない階

条文を見ていこう。

<建築基準法施行令 第126条の6>

建築物の高さ三十一メートル以下の部分にある三階以上の階(不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階又は国土交通大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階で、その直上階又は直下階から進入することができるものを除く。)には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

上記の条文では、火災を発生するおそれの少ない階について、その上下階に進入口を設ければ設置をしなくてもよいという事になっている。

当該条文が示す火災の発生の恐れの少ない用途については具体的な例も示されてはいない。ただ、平成12年5月31日建告1440号においては、「火災の発生のおそれの少ない室を定める件」とあるため、行政の確認をとりながら準用していただけたらと思う。

・進入を防止する必要がある階

まずは条文を見ていこう。

<建築基準法施行令 第126条の6>

建築物の高さ三十一メートル以下の部分にある三階以上の階(不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階又は国土交通大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階で、その直上階又は直下階から進入することができるものを除く。)には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

「屋外からの進入を防止する必要がある階でその直上階又は直下階から進入することができるもの」と規定されている。

屋外からの進入を防止する必要がある階とは、具体的に何であるのか

以下の条文に規定されている。

「屋外からの進入を防止する必要がある特別の理由を定める件」

(平 12.5.31 建設省告示第 1438 号)

建築基準法施行令第 126 条の6の規定に基づき,屋外からの進入を防止する必要がある

特別な理由を次のように定める。

建基令第 126 条の6の屋外からの進入を防止する必要がある特別な理由は,次に掲げる

ものとする。

一  次のいずれかに該当する建築物について,当該階に進入口を設けることにより周囲

に著しい危害を及ぼすおそれがあること。

イ  放射性物質,有害ガスその他の有害物質を取り扱う建築物

ロ  細菌,病原菌その他これらに類するものを取り扱う建築物

ハ  爆発物を取り扱う建築物

ニ  変電所

二  次に掲げる用途に供する階(階の一部を当該用途に供するものにあっては,当該用

途に供する部分以外の部分を1の階とみなした場合に建基令第 126 条の6及び建基

令第 126 条の7の規定に適合するものに限る。)に進入口を設けることによりその目

的の実現が図れないこと。

イ  冷蔵倉庫

ロ  留置所,拘置所その他人を拘禁することを目的とする用途

ハ  美術品収蔵庫,金庫室その他これらに類する用途

ニ  無響室,電磁しゃへい室,無菌室その他これらに類する用途

どちらにしろ、上記用途の階であったとしても、上下階は進入口を設けなければいけないことを忘れてはならない。

 

再確認!非常用進入口と消防法との関係

非常用進入口は建築基準法と定められるものであり、消防には定められいない事は述べた通りである。

では、非常様進入口について建築基準法所管の建築主事にだけ意見を聞けばよいのかというとそういう訳ではない。

その事を理解する為には、消防同意の点から考えて置かねばならない。

建築基準法93条(許可又は確認に関する消防長等の同意等)

特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関は、この法律の規定による許可又は確認をする場合においては、当該許可又は確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長(消防本部を置かない市町村にあつては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長の同意を得なければ、当該許可又は確認をすることができない。

消防法第7条に基づく消防同意事務等取扱規程

平成3年4月1日訓令第33号

(同意の審査)

第3条 法第7条第2項の規定に基づく同意事務については、当該建築物の許可又は確認に係る計画が関係法令に基づく建築物の防火に関する規定並びに消防用設備等及び消防活動についての規定に適合しているかどうか審査し、かつ、同条同項に定める期間内に処理しなければならない。

消防同意について示すアンダーラインについて注意していただきたい。

「当該建築物の許可又は確認に係る計画が関係法令に基づく建築物の防火に関する規定並びに消防用設備等及び消防活動についての規定に適合しているかどうか審査」

防火区画は建築基準法の事なのだから・・・と思うだろうが、そうではないのである。

この基準に基づき指導をしてくるのである。

非常用進入口は消防活動の為につくるものである。よって、消防の意見は尊重しなければならない。

 

迷ったら建築主事と消防に確認へ!

設計を進めて行く中で判断に迷うことは山ほどあるだろう。

非常用進入口のことにしても、要件にあっているのかどうか、判断はなかなか難しいものである。

設計者として、まず十分に法令を頭の中に叩きこんだ上でわからないことはどんどん、建築主事や所轄消防署に確認に行くべきである。

忘れてはならないのは、設計は建築士の意思のもとに行われていることである。建築確認申請も消防同意もこのように設計したから良いかという判断のもと進められている。

相手は法の番人であるので、些細な点も見逃さないが、一歩進んだ議論をする為には建築士の知識があることは当然のことである。

 

設計時に抑えておくべき2のポイント

今まで様々なことがらを述べてきたが、大事なのはどの部分をしっかり抑えておくべきかが気になるところだろう。

ここでは要点をまとめておきたい。

①3階建を超えたら非常用進入口

3階建を超えたら非常用進入口が必要になるという事を頭の中に叩き混んでもらいたい。用途にも関係ないので、とにかく必要になるんだと覚えてもらいたい。

②非常用進入口がファサード的に問題あるなら代替進入口

まずは、セオリーとして非常用進入口を純粋に置くことができるかは大事なポイントである。代替進入口は一見メリットも大きいが個数も増える為、検討項目も増える。

だが、非常用進入口がどうしても計画上邪魔と感じるなら、代替進入口を積極的に使いたい。

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まとめ

計画をする上で、押さえておくべきポイントをまとめてみた。

非常用進入口の設置は第一に考えるものではないのが一般的であろう。計画図面をある程度書いた段階で、法的要求を確認している中で、非常用進入口を思い出し、バルコニーを設けられないので代替進入口にしたというように計画をまとめるパターンが多いのではないだろうか。

この段階で気づけばまだよいが、ずっと気づかないで進んでいくと取り返しがつかなくなってしまうこともある。今回この記事を読んだのなら、頭の片隅に非常用進入口のことを置いていただきたい。そうする事で計画がなりたたないという状態は防ぐことができるであろう。

計画をしていく中で超えなくてはいけないハードルはいくつもでてくる、施主の要望と法の要求が矛盾していることなどは当たり前のようにおこることであろう。その丁度よい頃合いの部分を見つけ解決していくのが設計者の役割であり指名である。知見を深めればその分だけ解決の糸口は見つかるものである。

建築は機械化された自動車等の産業とは違い、設計者と施工者そして施主が協力しあって作っていく方法は、昔から変わっていない。

つまり決まった解決方法がある訳でもない事になる、幅広い知識と同時に深い知識も持つことがその解決への方法を見つける手段であろう。だが、設計者の考えだけでは建物を建てることはできず関係監督機関の承認を獲ながら取り組んでいくのが建設事業であることも忘れてはならない。ちょっとでも疑問となる点については、積極的に建築主事や確認機関、消防に確認をしていきたいものである。その行為により、その独特の考え方を認識することにもつながっていくものである。

しっかりと事前打ち合わせをすることにより、計画のあと戻りなどは防げる部分もあるはずである。

これを機に知見を更に深めていだだけたらと思う。

【記事監修】 山田 博保

株式会社アーキバンク代表取締役 建築マーケター/一級建築士     建築業界での経験を活かしたWEBメディアを運営。内装工事マッチングサイト「アーキクラウド」創業者。WEBコンサル事業、コンテンツ販売事業にも携わる。Facebookお友達申請大歓迎です。その他WEB集客、自社メディア構築、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。

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